日本ではマイナンバー・カードを利用し、見えない刑務所の構築を目指す
パランティア・テクノロジーズはウクライナを舞台にしたNATOの対ロシア戦争やアメリカ/イスラエルの対イラン戦争で作戦の立案や兵器の改良、あるいはガザでのイスラエル軍による住民虐殺などで重要な役割を果たしてきた。この会社は2003年にCIAのベンチャー・キャピタル部門であるIn-Q-Telからの資金によって創設されたが、イスラエルの情報機関とも緊密な関係がある。
そのパランティアの開発した「フェデレーテッド・データ・プラットフォーム(FDP)」をイギリスのNHS(国民保健サービス)は2020年にCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)騒動が始まった後、導入した。ボリス・ジョンソン首相の下、2020年に競争入札を経ることなく導入が決められたのだ。
FDPとは、データを元の場所に留めたまま、必要な時にはリアルタイムで統合し、活用することができるというもので、異なるシステム間で多くの患者の医療記録を連携させられるとされていた。ところが、その評価に疑問が出ている。実際、FDPの利点を裏付けるとされたデータに誤りが見つかった。
https://www.england.nhs.uk/long-read/federated-data-platform-update/
パランティアがイギリスをターゲットにした理由のひとつは、同国が「ゆりかごから墓場まで」というスローガンで知られた社会福祉政策で個人情報が他国に比べて集中管理されていたからだとも言われている。その社会を利用して監視システムの試験的な運用を目論んでいるのだろう。
この政策は1980年代、マーガレット・サッチャー政権による新自由主義の導入で解体されていくが、データシステムは残っていた。彼女の時代、原油価格の高騰で北海油田が利益を産んでイギリスに利益をもたらしたものの、その政策はイギリスの社会を破壊してしまった。
おそらく、イギリス以上に個人情報を集中管理している国が日本に他ならない。その日本では管理システムを強化する政策が推進され、住民基本台帳ネットワークやマイナンバー制度が強引に導入された。現在、デジタル化が進められている。
パランティアは日本にも入り込んでいる。例えば自衛隊は指揮統制において指揮官らの判断を支援するAI(人工知能)として、同社のメイブン・スマート・システムの導入を検討しているという。メイブンはデータ中心型のプラットフォームだとされ、衛星画像、ドローンからの映像、レーダーのデータ、戦場センサー、情報報告などを統合するのだという。今年2月に実施された日米共同統合演習の「キーン・エッジ」でも試験運用された。
https://www.asahi.com/articles/ASV6T3QJ0V6TUTFK00TM.html
https://www.mod.go.jp/js/activity/training/ke.html
こうした軍事だけでなく、パランティアは住民を監視するシステムも開発しているのだが、その背後には2015年9月に国連で採択された「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」がある。
そのアジェンダで示された「SDGs(持続可能な開発目標)」を実現するため、個人を特定するためのシステムに記録されていない人びとを管理する必要があるとされ、デジタルIDの導入が進められることになっている。その決定に基づいて日本政府はマイナンバーカードを推進しているはずだ。マイナンバーカードはデジタルIDの一種だ。
デジタルIDはチップ化され、それを体内にインプラントする計画がある。例えば、WEFを率いていたクラウス・シュワブは2016年1月にスイスのテレビ番組に出演し、そこでマイクロチップ化されたデジタル・パスポートについて話している。チップを服に取り付けるところから始め、次に皮膚や脳へ埋め込み、最終的にはコンピュータ・システムと人間を融合、人間を端末化しようと考えているようだ。シュワブは2018年に著書『第四次産業革命を形作る』を出版、その中で、バイオテクノロジー、ニューロテクノロジー、トランスヒューマニズムについて論じている。
同じことをイーロン・マスのニューラリンクも計画している。ブルームバーグによると、ニューラリンクは2031年までに約2万人の脳にマイクロチップを埋め込むことを目指しているというのだ。脳の神経活動を計測、外部機器を制御するブレイン・コンピュータ・インターフェース(BCI)のデバイスである「テレパシー」、視覚障害者に視覚を与えることを目指す「ブラインドサイト」、震えやパーキンソン病の治療を目的とする「ディープ」の提供が計画されている。その先に見えるのは脳の管理であり、シュワブの発言と結びつく。
シュワブの顧問でイスラエル人のユバル・ノア・ハラリはAIによって不必要な人間が生み出されると見通している。特に専門化された仕事で人間はAIに勝てず、「不必要な人間」が街にあふれるというのだ。放置しておけば反乱、あるいは犯罪に繋がる。そのため人びとを監視、コントロール、そして処分する必要があると彼らは考えているだろう。パランティアの監視技術は「見えない私的刑務所」として機能するかもしれない。
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【櫻井ジャーナル】

